📘 算数 × プログラミング
正多角形は、辺の長さがぜんぶ同じで、角の大きさもぜんぶ同じ図形です。だから、カメ(🐢)に「同じ長さだけ すすむ → 同じ角度だけ まがる」を角の数だけくりかえさせると、正多角形がかけます。
プログラムを動かす前に、まず頭の中でカメになってみましょう。
90度。4つのかどで 90度ずつ、4回まがると 90 × 4 = 360度。ちょうど1周まわって、最初の向きにもどります。
120度です。60度ではありません! 3つのかどで3回まがって1周(360度)するのだから、1回は 360 ÷ 3 = 120度。60度しかまがらないと、正六角形になってしまいます(ためしてみよう)。
正三角形の「角の大きさ(内角)」は 60度ですが、カメがまがる角度は、進んできた向きから次の向きまでの角度=外角です。内角と外角を足すと 180度なので、まがる角度 = 180 − 内角 = 120度。
「かどの数 × まがる角度 = 360」が、いつでも成り立ちます。だから まがる角度 = 360 ÷ かどの数。
下の「カメの画面」で、カメがコードのとおりに線をかきます。まず「角の数」のスライダーを動かして、コードの中の数字と、カメがかく形がどう変わるかを見てみましょう。コードは自分で書きかえて「▶ 実行」を押せば、そのとおりに動きます。
※ スライダーや見本のボタンを押すと、左のコードが書きかわって自動で実行されます。自分で書いたコードを残したいときは、先にどこかにコピーしておこう。
※ 図形が大きすぎて画面に入らないときは、小さくして表示します(1辺の長さを短くしても同じ形がかけます)。
※ 書いたコードはサーバーには送られません。この画面の中だけで動きます。
| 命令 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
すすむ(長さ) | 向いている方向へ、その長さだけ線をひきながら進む | すすむ(100); |
まがる(角度) | その場で右(時計まわり)にまがる。マイナスにすると左にまがる | まがる(72); |
くりかえす(回数, function () { … }) | { } の中を回数だけくりかえす。Scratchの「○回くりかえす」と同じ | くりかえす(5, function () { … }); |
ペンの色(色) | 線の色をかえる。「あか」「あお」「みどり」のように日本語でもOK | ペンの色("あお"); |
はじめから() | 画面を消して、カメを真ん中・右向きにもどす | はじめから(); |
Scratchの「10歩動かす」「15度回す」と同じことを、文字で書いているだけです。カメは最初、画面の真ん中で右を向いています。
まがる(360 / 7); と式のまま書けばOK。計算はコンピューターがやってくれます。ペンの色("あか"); を足したり、くりかえす を2つ重ねて(正五角形を10回かきながら少しずつまがる)もようを作ったりしてみよう。同じことは Scratch でもできます。線をひくには「ペン」の拡張機能が必要です。
上のプログラムを入れた Scratch のファイルを用意しました。変数もコメントもぜんぶ日本語で、「かどの数を 3 や 6 にかえてみよう」のヒントつきです。
カメは、スタートの向きからかき始めて、n個のかどで n回まがり、さいごにスタートの向きにもどってきます。向きが元にもどるということは、ちょうど1回転=360度まがったということ。n回でぴったり 360度なので、1回分は 360 ÷ n です。
そして、正多角形の「角の大きさ(内角)」は、まっすぐ(180度)からまがった分を引いた 180 − (360 ÷ n) になります。表にすると、こうなります。
| 角の数 n | 名前 | まがる角度(外角) 360 ÷ n | 角の大きさ(内角) 180 − 外角 |
|---|---|---|---|
| 3 | 正三角形 | 120° | 60° |
| 4 | 正方形 | 90° | 90° |
| 5 | 正五角形 | 72° | 108° |
| 6 | 正六角形 | 60° | 120° |
| 8 | 正八角形 | 45° | 135° |
| 12 | 正十二角形 | 30° | 150° |
| 36 | 正三十六角形 | 10° | 170° |
角の数がふえるほど、まがる角度は小さく、内角は 180度に近づきます。内角が 180度に近いということは「ほとんどまっすぐ」。まっすぐに近い短い辺をたくさんつなぐと、円に見えるわけです。これが「正多角形と円」の単元で、コンピューターを使って正多角形をかく理由です。手ではかけない正三十六角形も、プログラムなら数字を1つ変えるだけでかけます。
学習指導要領の解説で例示されている「プログラミングを通して正多角形の意味をもとに正多角形をかく場面」(手引の A分類・算数 第5学年)をそのまま行うためのページです。ねらいは、正多角形の性質(辺の長さがすべて等しく、角の大きさがすべて等しい)を「くりかえし」の命令に置きかえて表現すること、そして手ではかけない正多角形をかく中で「角の数をふやすと円に近づく」ことに気づくことです。プログラミングの技能そのものは目標ではないので、コードは見本を写すだけで十分です。
| 時間 | 活動 | 先生の動き・ポイント |
|---|---|---|
| 5分 | 手でかく ノートに正方形と正三角形を手でかき、「かき方を言葉で説明すると?」を考える | 「同じ長さ進んで、同じだけまがる」が子どもから出ればベスト。出なければ「カメになったつもりで」と促す。まがる角度はまだ確定させない |
| 10分 | 正方形を命令にする「100すすむ・90まがる」を4回、を全員で確認 → 正三角形は「何度まがる?」を予想して書く | 60度と120度に予想が割れるのが理想。理由を言わせてから、プレイグラウンドの正方形の見本を映して「命令は2つだけ」を見せる |
| 15分 | プレイグラウンドで正三角形〜正八角形 スライダーで 3・4・5・6・8 を試し、「角の数」と「まがる角度」の表をノートに作る | 60度で正三角形にならないことを実際に見せる(60 にすると正六角形になる)。表から「かける」=「360÷角の数」を子どもの言葉で出す。書きかえがむずかしい子はスライダーだけでよい |
| 10分 | 「円に近づく」発見 角の数を 12・20・36 とふやす。1辺を短くして画面におさめる | 「これは何角形?」「どこまで角の数をふやせる?」。正三十六角形が円に見えることから、円の学習(円周・直径)へつなぐ一言を添える |
| 5分 | ふりかえり「正多角形をかく命令のきまり」「手でかくのとどこがちがったか」を1〜2行 | 「360÷角の数」を自分の言葉で書けているかを見る。コードが書けたかどうかは書かせない |
| よくある様子 | 手立て |
|---|---|
| 正三角形で「60度」を入れて、正六角形になってしまう | 失敗させてよい。「6回まがってやっと1周した=1回は60度しかまがっていない」と気づかせ、内角と外角のちがいをページ上部の図で確認する |
| くりかえす回数と角度の対応があいまい(5回で90度など) | 「まがった角度を全部足すと?」と聞く。360にならないと元の向きにもどらない=図形が閉じないことを、実際に画面で見せる |
| 360÷7 が割り切れなくて止まる | 「360 / 7」と式のまま書いてよいと伝える。計算はコンピューターの仕事、と切り分ける |
| 全角の「()」や「;」を打ってエラーになる | エラー文の下に日本語のヒントが出る。直せないときは見本ボタンで戻して、スライダーだけで進める |
| 図形が画面からはみ出す | 自動で縮小表示されるが、「1辺の長さ」を短くすれば同じ形が小さくかけることを確認させる(相似の素地) |
| 観点 | こう言えたら分かっている |
|---|---|
| 知識・技能 | 正多角形の性質(辺も角も等しい)を、「同じ長さ進む・同じ角度まがる」のくりかえしとして説明できる |
| 思考・判断・表現 | 「角の数 × まがる角度 = 360」から、まがる角度を 360÷角の数 と一般化できる。内角と外角のちがいを図で説明できる |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 角の数をふやして試し、円に近づくことを自分で見つけようとしている。うまくいかなかった命令の理由を考えている |
| 用途 | URL・ファイル |
|---|---|
| プレイグラウンド(このページ) | https://hinata-ya.tech/games/tutorials/regular-polygon/ |
| Scratch で行う場合 | regular-polygon.sb3 を配布し、Scratch 3 の「ファイル」→「コンピューターから読み込む」で開く |
A. できます。このページのプレイグラウンドはブラウザだけで動き、インストールもログインもいりません。Scratchで同じものを作りたいときだけ、学習用ファイル(.sb3)をダウンロードして使ってください。
A. 動きます。スライダーで角の数を変えるだけならキーボードなしでできます。コードを書きかえるときは画面のキーボードで入力できますが、外付けキーボードがあると楽です。
A. 小学5年の算数「正多角形と円」に合わせています。角度と「1周=360度」を習っていれば4年生でも楽しめますし、内角と外角の関係まで扱えば中学1年の数学の復習にもなります。
A. 本当の円ではありませんが、角の数を36にすると10度ずつ36回まがる正三十六角形になり、見た目はほとんど円です。角の数をふやすほど円に近づくことを、自分で発見するのがこの教材のゴールの1つです。
A. 同じ「くりかえし」の考え方で作られたゲームの中を見るのがおすすめです。ScratchのブロックがJavaScriptでどう書かれるかを見くらべるページ、AIに手伝ってもらいながらゲームを作るページ、形をかいて点数がつくゲームへ進めます。
正多角形がかけたら、プログラミングの一番大事な考え方は、もう1つ身についています。ひなテックの教室では、こうした考え方をゲーム作りで楽しく積み上げていきます。