かりほのいおの
とまをあらみ
ではつゆに
ぬれつつ
秋の田のかりほの庵のとまをあらみ / 我がころも手は露にぬれつつ
あきのたの かりほのいおの とまをあらみ / わがころもでは つゆにぬれつつ
天智天皇
- 現代語訳
- 秋の田んぼのほとりに建てた、稲の番をするための仮小屋にいると、屋根をふいた苫の編み目があらいので、私の袖は夜露にぬれ続けていることだ。
- ことばと技法
- 「かりほ」は「仮庵(かりいほ)」がつづまった形で、収穫の時期に田を見張るための粗末な小屋のこと。「苫をあらみ」は「苫の編み目があらいので」という意味で、「〜を…み」は理由を表す古い言い方。
- 背景と鑑賞
- 天皇みずからが農民の夜番のつらさを体験するかのようによんだ歌で、民を思うやさしさの歌として百人一首の巻頭に置かれた。もとは民謡風の歌が、天智天皇の作として伝わったものと考えられている。