えやはいぶきの
さしもぐさ
じなもゆる
おもいを
かくとだにえやは伊吹のさしも草 / さしも知らじな燃ゆる思ひを
かくとだに えやはいぶきの さしもぐさ / さしもしらじな もゆるおもいを
藤原実方朝臣
- 現代語訳
- せめて「これほど思っています」とだけでも、言うことができたら。伊吹山のさしも草ではないが、あなたは知らないでしょう、これほど燃える私の思いを。
- ことばと技法
- 「さしも草」はお灸に使うもぐさの原料で、「燃ゆる」の縁語。「かくとだに」「さしも知らじな」と、指し示すことばを重ねて思いの強さを畳みかける。
- 背景と鑑賞
- 作者の藤原実方は清少納言との交際でも知られた風流貴公子。宮中での騒ぎがもとで陸奥に赴任し、任地で亡くなった。言えない恋の熱を、灸の火に託した技巧派の名歌。