なきつるかたを
ながむれば
けのつきぞ
のこれる
ほととぎす鳴きつる方を眺むれば / ただ有明の月ぞのこれる
ほととぎす なきつるかたを ながむれば / ただありあけの つきぞのこれる
後徳大寺左大臣
- 現代語訳
- ほととぎすが鳴いた、その方角を眺めると、鳥の姿はもうなく、ただ有明の月だけが空に残っていることだ。
- ことばと技法
- 声に振り向く動きと、あとに残る月の静けさの対比がすべて。「ただ有明の月ぞ残れる」の「ぞ〜る」は係り結び。
- 背景と鑑賞
- ほととぎすの初音は夏の到来のしるしで、貴族は夜明かしをして待った。作者の後徳大寺左大臣こと藤原実定は、声だけ残して消えた鳥と明け方の月で、その待ち焦がれの一瞬を切り取った。