かどたのいなば
おとずれて
やにあきか
ぜぞふく
夕されば門田の稲葉おとづれて / 芦のまろやに秋風ぞ吹く
ゆうされば かどたのいなば おとずれて / あしのまろやに あきかぜぞふく
大納言経信
- 現代語訳
- 夕方になると、家の前の田んぼの稲葉に音を立てて、芦ぶきの粗末な小屋に秋風が吹きわたってくることだ。
- ことばと技法
- 「夕されば」は「夕方になると」。「そよぐ」という言葉の元祖的な用例で、稲葉の音から風の訪れを描く、聴覚の叙景。
- 背景と鑑賞
- 貴族が田園の家によんだ「田家の秋風」の題詠だが、稲の葉ずれの音の実感が広く愛された。作者の大納言経信は詩・歌・管弦の三つに秀でた「三船の才」の人。孫が俊頼(74番)、曽孫が俊恵(85番)という歌の名門。