やそしまかけて
こぎいでぬと
げよあまの
つりぶね
わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと / 人にはつげよあまのつり舟
わたのはら やそしまかけて こぎいでぬと / ひとにはつげよ あまのつりぶね
参議篁
- 現代語訳
- 大海原に浮かぶたくさんの島々をめざして、私は漕ぎ出していったと、都にいるあの人に伝えておくれ。漁師の釣舟よ。
- ことばと技法
- 「わたの原」は大海原、「八十島」は数多くの島のこと。都の人に言葉を届けるすべがなく、通りすがりの釣舟に伝言を託すところに切なさがある。
- 背景と鑑賞
- 作者の小野篁(参議篁)は、遣唐副使に選ばれながら乗船を拒否して怒りを買い、隠岐へ流罪になった。この歌はその船出のときの一首。学問の天才で、夜は冥途で閻魔大王に仕えたという伝説まで残る人物。