わがなはまだき
たちにけり
こそおもい
そめしか
恋すてふわが名はまだき立ちにけり / 人知れずこそ思ひそめしか
こいすちょう わがなはまだき たちにけり / ひとしれずこそ おもいそめしか
壬生忠見
- 現代語訳
- 「恋をしている」という私のうわさが、もう世間に立ってしまった。誰にも知られないよう、ひそかに思いはじめたばかりだったのに。
- ことばと技法
- 「恋すてふ」は「恋しているという」の意味。「まだき」は「早くも」。うわさの速さと、始まったばかりの恋の初々しさの対比があざやか。
- 背景と鑑賞
- 天徳内裏歌合で40番「忍ぶれど」と組み合わされ、惜しくも敗れた歌。作者の壬生忠見は敗北を苦にして病んだという逸話が残る(伝説とされる)。勝負を離れれば、甲乙つけがたい名歌同士。